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労災事故とは

労災事故とは

業務災害のことをいいます。
災害が、業務災害に該当するといえるには、2つの用件を満たす必要があります。

要件1 業務遂行性 ・・災害が業務を行ううえで、発生した場合をいいます。

要件2業務起因性 ・・業務が原因となって、災害といった結果が発生した場合をいいます。

たとえば、清掃業に従事している労働者が、脚立を利用して高所の清掃作業をしていた時に、あやまって足を踏み外して、脚立から転落して、足を骨折したといった場合は、2つの要件を満たしていることが明らかですので、比較的容易に業務災害に該当すると判断することができます。この場合、労働者の不注意(過失)の有無は、問題となりません(ただし、労働者に重大な過失がある場合は、後述する保険給付が制限を受ける場合があります)。
  業務遂行性の要件が問題となるのは、得意先の接待や従業員の慰安旅行中の災害といった業務の周辺で事故にあった場合などです。また、業務起因性の要件では、心肺、脳などに持病がある人が、これらの病気が悪化して、就労に支障が出た場合や就労不能になった場合などに、問題となります。





労災事故と労災保険・損害賠償

労災事故にあった労働者は、その事故の発生に使用者の故意や過失といった責任がなくても、政府が運営する労災保険から、労災補償として一定額の給付を受けることができます。
 事故の発生に使用者の故意や過失がある場合もしくは義務違反(典型的なものは、使用者の労働者に対する安全配慮義務違反です)がある場合は、損害賠償請求の問題となります。労働者は、労災事故によって発生した全損害から、既に労災補償として給付を受けた部分を差し引いた残りの損害を、使用者に対し、賠償請求することができます。
 労災事故の発生に,使用者の過失(不注意)がある場合は、損害賠償請求の問題になるということは、実は大変重要なことですが、労働者も使用者もあまり意識していない方が多いようです。
 労働者が、このことを知らない場合は、使用者に過失(不注意)があって、労災事故から発生した全損害を使用者に倍賞して貰えるのに、労災保険の手続をし、労災補償を受けただけで、満足してしまうといったことになります。逆に使用者が知らない場合は、労災事故は、すべて労災補償で賄えるものと安心し、高額な損害賠償の支払いに対する備えを怠り、いざ事が発生した場合に、高額の賠償金の支払いに苦労することになります。

(具体例で見てみると)
 ・建設工事現場で、同じ会社のAさんが、ユンボの作業をし、その横でBさんが手作業で掘削をしていた際に、Aさんがユンボのバケットを動かす時に、安全確認を怠り、周囲には誰もいないものと考えて、ユンボのバケットを回旋したところ、ユンボの横で手作業で掘削作業をしていたBさんに、バケットを宛ててしまい、骨折等を追わせたといったケースです。Bさんは、この事故で入院2ヶ月、通院6ヶ月の怪我を負い、入院期間は、全日日、通院期間中は、2ヶ月仕事を休みました。給料は、月額30万円です。幸いなことに後遺障害は残らず、介護も不要でした。
・労災保険は?
 Bさんは、工事現場で、掘削作業に従事していて事故にあったわけですから、業務に起因して事故にあったことは明らかです。また、この事故は、ユンボといった建設機械が有している危険性が現実化したものですから、業務と怪我との間には、容易に因果関係すなわち業務起因性が認められます。よって、業務災害に該当し、労災保険から給付を受けることができます(ただし、労災の給付を受けることができるということと、実際に受けることができたかは、別問題です。使用者によっては、労災事故扱いしない・・労災隠し・・といった対応を取るものもいます。)
・(労災保険給付の内容)
@ 労災病院等で、診察や手術といった治療を受けることができます。
(療養給付)
A 休業期間中、賃金の約8割に相当する金員の支払いを受けることができます。(休業補償給付)
本件の労災補償は、上記@とAのみとなります。慰謝料は、労災保険から  は、一切支給されません。
・(損害賠償請求の内容)
@ 治療費
A 通院交通費
B 休業損害(約8割は、労災保険から給付を受けた場合は、残りの約2割を賠償金として請求・受領することができます。)
    本件では、30万円×0.2×4=24万円
C 慰謝料 入院2か月間、通院6が月間に対する慰謝料・・事案によって異なりますが、平均的には、金180万円ないし200万円程度です。
   以上のとおり、労災事故では、労災保険から、一定額の補償がなされますが、労働者が労災事故により被った全部の損害が賠償されるわけではありません。労働者に後遺障害のないケースでは、損害賠償請求がカバーする休業損害は、全体の2割ですから、さほど大きな金額になりませんが、後遺障害が残るケースでは、休業損害や逸失利益(後遺傷害が残ったため、労働力が失われれ、将来得ることのできる賃金が減少することによる損害)の金額も大きくなるため、労災給付でカバーされない休業損害・逸失利益等も相当大きな金額となってきます。
   慰謝料は、一切労災保険の対象外であり、後遺障害の無いケースでも、怪我による入通院期間が長期化すると相当高額な慰謝料になりますし、後遺障害が残るケースでは、その程度によって、かなり高額な支払いを命じられることになりますから、労災保険給付のみで終わる場合と、損害賠償金まで、支払われるケースでは 、金額に相当の差が生ずることになります。


請求手続について

・まずは、労災事故の状況やこれによって被った損害について、弁護士に相談してみてください。
・弁護士が、このケースは、労災事故で、労災保険請求が可能か、さらに労災事故の発生に使用者(使用者に雇用されて業務に従事している労働者を含むます)に故意・過失があり、労災保険給付を超えて、損害賠償の請求が可能か、可能として、使用者に支払能力があるか等を判断します。
・そのうえで、とるべき手続を選択します。
・労災事故が明白であれば、労災保険請求と損害賠償請求を平行して進めることになります。この点の判断が難しい場合は、まずは、労災保険請求をして、労災事故に該当するかどうかの判断を先行させ、労災事故に該当することがはっきりした後に、使用者に損害賠償の請求をしていくといったことも考えられます。損害賠償の請求も、事案の内容や使用者の対応を考えて、話し合いをベースとした斡旋、調停や、最終的には裁判所が証拠に基づいて結論をだす労働審判、通常訴訟等たくさの解決方法があり、弁護士において、その事案に一番合う解決手続きを選らんで手続きを進め、解決を図ります。



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